関西小劇場を楽しもう 3


赤い観覧車のある劇場
先日、大阪は梅田に新しい劇場がオープンしました。HEPの8階にあるHE P HALLです。梅田コマ劇場と阪急ファイブ跡に出来たHEPは、シンボ ルの赤い観覧車が、もうすでに梅田のランドマークとなっています。これに乗 ると、700円で20分間の都心の空中散歩が手軽に楽しめるわけですが、7 階の観覧車乗り場の横を、もう1階上がったところに劇場があります。 かつての阪急ファイブにもオレンジルームというスペースがあり、そこで企画 された演劇祭をステップに、数々の関西の劇団が育って行きました。まさに、 関西のカウンターカルチャー(懐かしい言葉)のメッカとして、舞台芸術のイン キュベーターの役目を果たしていたわけです。

舞台との一体感あるHEP HALL
その伝統を踏まえ、新装なったHEP HALLは、コンパクトな空間なが ら、高い天井のおかげで照明も美しく、見やすい劇場となって生まれ変わりま した。先日、行われたランニングシアターダッシュの公演では、全席坐りやす い椅子が用意されており、最後列ひとつ手前の10列目からでも、舞台上で飛 び散る役者の汗や唾、涙がよく見えました。ラストに向かい、客席と舞台が近 づき、一緒になって盛り上がるのが、よくわかります。渾然一体となったその 場の空気の魅力というのでしょうか、場内のすすり泣きもBGM、舞台は客も 参加して作るものだということをあらためて実感しました。 そこで、今回は、HEP HALLのスケジュールを、ご紹介したいと思いま す。もう観覧車も、それほど並ばなくても乗れるようです(日曜で20〜30分 程度のようです)。空中見物のついでに、お芝居を観るプランはどうでしょう か。

2/16(火)−20(土)
MOTHERLESS CHILDREN「リバウンド」
平日7:00、土2:00/6:00
前売¥2800、当日¥3000

2/25(木)−28(日)
そとばこまちWORKERS「グラム・スラム」
平日7:00、土2:00/7:00、日2:00
前売¥2800、当日¥3000

3/1(月)−3(水)
世界一団「ハワイの結婚式」
3:00/7:00(1日は7:00のみ)
前売¥2300、当日¥2700(3:00公演のみ前売¥1800、当日¥2200)

3/4(木)−6(土)
立身出世劇場「ペガモ星人の襲来」
平日7:00、土3:00/7:00
前売¥2500、当日¥2800

3/7(日)・8(月)
異国幻燈舎「ブルペン」
日5:00、平日7:00
前売¥1500、当日¥1800

3/9(火)
上岡龍太郎ひとり会「幻の世界的歌手・美空ひばり」
7:00
前売¥1500、当日¥1500

3/10(水)・11(木)
第四勢力残党公演「メッセージ」
7:00
前売り¥2000、当日¥2500

3/12(金)・13(土)
くるくるオンパレード「ブルースカイブルー」
平日7:30、土3:00/7:00
前売¥2500、当日¥2800

3/14(日)−16(火)
チキン王「グランド・ロマン」
日6:30、平日7:00
前売¥2500、当日¥3000

3/17(水)−19(金)
村田さんの会「普通」
7:30、19日のみ3:00/7:00
前売¥2500、当日¥2800

3/26(金)−28(日)
満遊戯賊「蓮のうてな」
金7:00、土2:00/7:00、日1:00/5:00
前売¥2500、当日¥2800

ほぼ連日、どこかの劇団(ひとり芝居やコントもあります)が、ライブをやって いるわけで、自身の時代感覚を試すつもりで、のぞいてみるのもいいと思いま す。でも、実際どの劇団を見ようかと選択するのは、難しいかもしれません。 情報誌の公演案内は、必ずしもすべてをカバーしていませんので、身銭を切る には自分で判断するしかないわけです。

チラシは、劇団からファンへの熱いメッセージ
私の場合、よく知らない劇団を初めて観るキッカケとして最も決め手となるの は、公演のチラシです。原始的な手段ですが、マスメディアに載ることも少な い演劇の場合、これが最も観客動員に効果的であり、各劇団も力を入れるとこ ろとなっています。それゆえに、チラシのセンスで、芝居の出来も大体予想で きるほどです。 常に同じデザイナーを起用してイメージ戦略を図る劇団もありますし、変形サ イズのチラシでインパクトをねらう劇団もあります。カラフルな本チラシを製 作するのに時間がかかるため、とりあえず公演日とタイトルのみ記載された一 色刷の仮チラシというものまであります。これは、関西だけでも500以上あ るといわれる劇団の公演予定を、いち早くファンに知らせ、その日を空けても らうためなのです。

チラシで運だめし
あ、カッコイイとか、これ良さそう、という自分のカンを信じて演劇体験する のは素敵だと思います。宝くじよりは、確実にその時間を楽しませてくれるは ずですし、ひょっとしたら自分を変えてくれる何かに出会うことがあるかもし れません。 HEP HALLで行われる公演のチラシは、8階のホール横のチケット売場に 常時何種類も置いてあります。ぜひ、手に取ってお気に入りの一枚を見つけて ください。

これが、赤丸上昇中!
以上の公演の中で、私のおすすめは、村田さんの会と満遊戯賊。「普通」は再 演なので、おもしろさ保証付き。日常シュールな可笑しさが満載されており、 あまりの馬鹿馬鹿しさにストレス解消疑いなし。役者も、今が旬の鮮度の良さ です。満遊戯賊は、甲南大学系の動員急上昇中の劇団ですが、とにかく役者が カッコイイ。コンピュータを駆使したモダンさと、物語のおもしろさを押さえ た作りがマッチして、エンタテイメント系ではイチオシの劇団です。

満遊戯賊
http://www2d.biglobe.ne.jp/~MANYU/

立身出世劇場
http://www1.odn.ne.jp/~aaa34070/risshin/

有馬自由さん、いよいよ全国公演へ

最後に、以前お伝えした同窓生の有馬自由さんが所属する扉座の全国公演の予 定をお知らせします。

劇団扉座第16回公演『アゲイン〜怪人二十面相の優しい夜〜』
作・演出 横内謙介
日程
4月23日(金)〜29日(祝) 厚木市文化会館
5月1日 (土)〜12日(水) 紀伊國屋サザンシアター
5月15日(土)〜17日(月) 西鉄ホール
5月19日(水) 石川県文教会館
5月21日(金) 長久手町文化の家
5月23日(日) 扶桑文化会館
5月27日(木)〜30日(日) 新神戸オリエンタル劇場
キャスト
近藤正臣 六角精児 茅野イサム 有馬自由 山中崇志 石坂史朗 右田浩美
田中信也 犬飼淳治 伴美奈子 中原三千代 鈴木真弓 三木さつき 
杉山良一 他
前売開始日 厚木・東京公演            3/14(日)
      福岡・石川・長久手・扶桑・神戸公演  3/28(日)
料金〈全席指定・税込〉 
厚木公演               前売券 4000円/当日券 4300円/中高生券 3000円
東京・福岡・神戸公演  前売券 4000円/当日券 4300円/中高生券 3500円
石川・長久手・扶桑公演 前売券 3500円/当日券 3800円/中高生券 3000円
注目されるのは、先日もひょうご舞台芸術「ダブル・アクト」で2時間半にも 及ぶ濃密な二人芝居を成功させたベテラン近藤正臣が客演することで、扉座劇 団員とのフレッシュな出会いに、ファンの誰もがワクワクしていることでしょ う。扉座主宰で作・演出を担当する横内のストーリーテラーぶりには定評があ り楽しめる作品でありながら、底ににじむ現代への辛口批評が見事なスパイス となっています。

今回は、おなじみ二十面相をテーマに、レトロで心温まる大人の冒険活劇を見 せてくれることでしょう。涙と笑いあり、スピーディな展開は、しばしの夢の ひとときになるのに間違いありません。有馬さん以外で、見逃すことの出来な い役者は、強烈なキャラの六角精児。一度見た人は、絶対に忘れられないと断 言しておきます。あと、セクシーな女優陣にも注目でしょう。モデルと見まが うばかりのスタイル抜群の方もいますし、中原三千代のように小粒ながら実力 派もそろっています。

よい席を確保するには、記載した発売日をお忘れなく。ぴあ、セゾン、ローソ ン等のプレイガイドで、朝10時に直接購入もしくは電話予約することをおす すめします。 なお、中高生券の取り扱いは、扉座でのみ。その他の問い合わせとも扉座へは 電話、03−3221−0530。

なお、東京方面にお住まいの方は、有馬自由さんを一足早く舞台で観ることが 出来ます。関西にも評判が伝わっているプロデュース公演、泪目銀座に出演が 決定しているからです。扉座公演が待てない方は、まずこちらをチェック。

泪目銀座公演  『サニー・コースト・セレナーデ〜美鼻島小学校ビックバンドの復活〜』 3月17日(水)〜24日(水) 新宿スペースゼロ 脚本・演出 福島三郎 出演:森若香織 ピアニカ前田 林泰文 他 もし、関西の小劇場のことで、おたずねがありましたら、遠慮なくメールをど うぞ。私のわかる範囲でなら、喜んでお答えしたいと思います。 miyabi.nishio@nifty.ne.jp niftyserve:みやび猫(CZA00744)

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