PlantBiology2003 Honolulu, Hawaii USA
Venue: Hawaii Convention Center
Dates: Friday, July 25 through Wednesday, July 30, 2003
農学研究科生物機能学専攻遺伝子工学講座 高橋英之
2003年7月25日から30日 まで、ハワイのホノルルにおいて
PlantBiology2003が開催さ れました。参加するにあたり、京都府立大学同窓会より補助を頂きました。ありがと うございました。以下に学会の様子について報告します。この学会はアメリカ植 物学会(
American Society of Plant Biologists)が毎年行っている学会 で、今年は日本植物生理学会(Japanese Society of Plant Physiologists)、オーストラリア植物科学会(Australian Society of Plant Science)、 カナダ植物生理学会(Canadian Society of Plant Physiologists)、そして韓国、 中国、台湾、ニュージーランドやその他の環太平洋諸国の植物関係の学会との合同で 開催されました。
会場のHawaii Convention Centerはワイキキビーチやアラモア ナビーチのすぐ近くにありました。屋上が庭園になっており、初日に懇親会がそこで 行われました。
Hawaii Convention Center
学会の規模は日本の植物生理学会の倍ぐらいだと思います。合同大会だったので 日本からの参加者も多かったです。会場がハワイということで、参加者の多くは半パ ンにサンダルというラフな格好でした。
ポスター会場
ポスター発表は約1400題程で、その他に、5つのシンポジウムと24のミニシンポジ ウムが催されました(
要旨集)。ポスター発表は 48のセッションに分けられており、非常に多岐にわたっていました。全体を通した感 想として、アラビドプシスに続いてイネのゲノムが解読されたことにより、網羅的解 析さらにはミュータントを使った解析が多くなったように感じられました。発表は完 成度の高いものが多く、すでに論文として発表されているものも多かったように思い ます。私は、Organelle Biogenesisというセッ ションにおいて「Tissue specific expression of rice tonoplast intrinsic protein isoforms(イネ液胞膜内在性タンパク質の組織特異的発現)」 (
要旨)という タイトルで発表しました。筆者の発表
我々は現在、イネ種子における貯蔵タンパク質の集積機構の解明を目的として研 究を進めています。高等植物の液胞は、一般的には細胞内で不要になった成ェの分解 に関与すると考えられています(分解型液胞)。しかしながら種子おける液胞は、次 世代幼植物の初期生長を支えるための貯蔵タンパク質を大量に蓄積するという全く逆 の機能を示します(タンパク質蓄積型液胞)。今回我々は、液胞の膜に存在する液胞 膜内在性タンパク質(tonoplast intrinsic protein, TIP)に着目し、TIPと液胞の 機能分化との関連を解析しました。その結果、新たに3個のイネTIPアイソフォームを 同定し、それぞれ異なる発現パターンを示すことを明らかにしました。このことか ら、イネにおけるTIPアイソフォームと液胞の機能分化との関連が示唆され、液胞の 機能分化には特異的なTIPアイソフォームの存在が必要であると考えられました。
液胞の機能分化模式図
26日と27日に演題番号の奇数、偶数で時間を分けてポスターセッションが行われ ました。26日は午後8時から10時まででビールとポップコーンを食べながらというも のでした。
学会の合間に、ワイキキビーチにも行っ てみました。
ワイキキビーチ
私にとって今回が初めての国際学会であ り、初めての海外でもありました。なにもかもが新鮮で、とてもよい経験が出来たと 思います。しかし、国際学会に参加するというのは大学院生にとってはかなりの負担 になります。今回私は、「大学院海外学会参加奨励金」という制度を利用して参加す ることができました。皆さんもこのような機会をどんどん利用して海外の学会に参加 すると良いと思います。