直線上に配置

研究概要



はじめたきっかけ
 現在、行なっている研究は、コラーゲンを食べると肌がピチピチになるなんて本当か?と思い始めている。コラーゲンを知ったのは、私が大学4回生の時で、魚を刺身で食べるときの鮮度維持に関する研究を行なっていた。魚を刺身で食べるとき「コリコリ」とした歯ごたえは、嗜好性に重大である。刺身の歯ごたえは、コラーゲンが深く関係している。鮮度が低下するにつれて、歯ごたえと低下と比例して、コラーゲン分解が進んでくる。私が卒業課題は、どのようなコラーゲンが軟化に関連しているかを知り、分解を抑制し、より美味しい刺身が食することに役立つ研究であった。
 当時の趣味といえば、筋肉トレーニングであった。ヒマがあったらトレーニングジムに通い、トレーニングに関する本を読んでいたものである。学んだ知識を生かして、実践していくのは面白みがあった。その頃から、体に良い影響を及ぼすサプリメントに興味を持ち始め、プロテインやアミノ酸、ビタミンなど、必要があれば購入していた。あるとき、コラーゲンを摂取したら、怪我の回復が促進されるのを聞いた。コラーゲンは、魚の鮮度維持だけでなく、体にも影響を及ぼすんだと、とても興味を持った。
  大学院に入り研究テーマを何をするか悩んでいたところ、先生から「興味があること何でもしていいよ。」と声をかけてもらった。魚の研究を続けても良かったが、食べるコラーゲンが気にかかり、先生に「食べるコラーゲンは本当に効くんですか?」と聞いてみると、「いや、効くかどうかは知らん」と答えが返ってきた。このとき、なぜ効くかどうか分からないものが、効くように世の中に出回っているのだろうと思い。じゃ、本当に効くかどうかやってみようと思い、現在の研究を行なっている。今思えば、興味が先行して、世の中の使命感すべて受けたかのように「やったろう!!」と燃えていた。実際、具体的なことは、全然考えてないのに…。
 


・研究概要
【目的】コラーゲンペプチドは、コラーゲンを熱変性したゼラチンを化学・酵素的に低分子化したものである。コラーゲンペプチドを経口摂取より肌質の改善、創傷治癒の促進や関節痛の緩和など、生体に有益な健康増進効果が期待され、コラーゲンペプチドを含むドリンク剤やサプリメントが市販されている。メーカーからのパンフレットからは、有益な効果を示しているが、審査論文等の報告がなく、作用メカニズムついては不明である。一方、Vitroの試験では、コラーゲン配列を含むオリゴペプチドは、線維芽細胞や白血球などに生物学的機能を示している。しかし、食べたコラーゲンペプチドが、ヒトの血液にペプチド態で吸収されているかは、不明である。そこで本研究の目的は、ヒト血液中の食事由来コラーゲンペプチド量の変化とその構造を解明し、次に食事由来コラーゲンペプチドが、何らかの生物的意義を持つか、vitroでのヒト由来線維芽細胞への影響について検討を行っている。
【結果】10から25gコラーゲンペプチド経口摂取後のヒト血液中に遊離Hypだけでなくペプチド型Hypが存在することを見出した。ペプチド型Hypは、約2時間後には最大となり、血液中には20-100nmol/mlで存在していることを確認した。また、ペプチド型Hypの構造は、ほとんどがPro-Hypからなり、その他、Ala-Hyp-Gly、Pro-Hyp-Gly、Ile-Hyp、Leu-Hyp、Phe-Hypが、わずかに存在することを見出された。また、Vitroにおいて、プレーンプレート上やT型コラーゲンコートプレート上では、Pro-Hypによる線維芽細胞への有意な変化が確認されなかった。粗コラーゲンコートプレート上では、播種4h後より細胞が集合を開始し、2日後でも細胞集合をほぼ維持していた。一方、Pro-Hyp群は、線維芽細胞の集合が確認されず、培養から2日後、線維芽細胞は濃度依存的に細胞数が増加した。
【考察】本研究では、コラーゲンペプチド摂取後のヒト血液中にアミノ酸だけでなく、食事由来コラーゲンペプチドが存在することを初めて見出した。食事由来コラーゲンペプチドはPro-Hypのジペプチドが主成分であり、10-25g摂取後のヒト血液中に最大20-40 nmol/mlのPro-Hypが存在することが確認された。また、in vitroでは、経口摂取後の血中レベルでのPro-Hypが、コラーゲンコート上で線維芽細胞の集合する運動を抑制し、増殖活性を示すことを見出した。コラーゲンペプチド経口摂取によって肌質の改善、関節痛の緩和、骨粗鬆症の進行抑制、創傷治癒の促進が期待されている。これまでコラーゲンペプチド経口摂取後の有益な効果を示す生理活性に関する報告がなかったが、本研究では経口摂取後のヒト血液中に存在するPro-Hypが、ある条件下で線維芽細胞の増殖や形態や遊走に影響することが示唆された。創傷治癒過程では、線維芽細胞の遊走や接着が重要な役割を果たしている。本試験において、Pro-Hypは線維芽細胞へ増殖効果を示し、創傷治癒の促進に有効かもしれない。今後、動物試験により、Pro-Hypの生理学的機能について更なる検討が必要と考えられる。

トップ アイコントップページへもどる

直線上に配置